泣き寝入りする必要はありません
残業代請求について
原則として請求できる残業代
近年、外国に比べて我が国の労働者は働きすぎであるとか、お仕事に一生懸命になりすぎて体や心を壊してしまうというような話をよく耳にするようになりました。
我が国の労働者は、仕事に対してとても勤勉で会社やお客さんのためにプライベートを犠牲にして働くことが良いことであるとされてきた文化があります。特に運送業、飲食業、美容師業は長時間労働が恒常化している業界です。しかし、1日8時間以上または週40時間以上働いたのであれば、原則として残業代を請求できます。
労働者の方は、会社に対して時間を売っているのです。1日8時間という時間を売っているのですから、それ以上の働けば、従業員の方は当然会社に対してその対価である残業代が請求できるのです。お世話になった会社に、支払われていない残業代があるから払って欲しいという話をするのは心苦しいと思う方もいるでしょう。また、そもそも元々のお給料以外に本当は支払われるべきお金があるのではないかと調べたり、会社に相談したりすることが気がひけるという空気もあります。しかし、本当に心苦しく思わなければいけないのは、会社の方なのです。会社や経営者は、皆さんの時間を無料で使ってお金儲けをしているということになりますから、皆さんが泣き寝入りする必要はありません。
あなたの会社はどうでしょうか
残業代請求ができる場合
給与明細、タイムカードなど、まずはご自身でチェック!
1日8時間、週40時間を超える労働時間を超えて働けば原則として残業代を請求できます。労働基準法には残業代を支払わなくて良い場合についても規定がありますが、ほとんどの場合で残業代を支払わなくて良いという内容の法律が適用されることはありません。ですから、自分が1日8時間以上働いているのであれば、ご自分の給与明細を見て残業代がちゃんと支払われているのかをチェックしなければなりません。
ここで、会社が労働者の皆さんの残業時間を把握して、毎月残業代があるかどうかをしっかり計算しているかどうかをみてください。給与明細に残業代の項目はありますか? タイムカード等労働時間の管理はしっかりされていますか? そのどちらかでもなければ、会社はちゃんと残業代を支払っていない可能性があります。
これがあれば大丈夫
残業代請求のために
労働者の方がしなければならないこと
タイムカードやタコグラフ、メールの履歴等の証拠集め。
残業代を請求するためには、自分がどれくらい働いたのかを労働者側が証明しなければなりません。印字式のタイムカードやパソコンで毎日勤怠管理がされているのであればそのデータが有力な証拠になります。それ以外にも、運送業のドライバーさんなら自動車の動静を表すタコグラフ(「タコメーター」ともいいます。)「デジタルタコグラフ」(いわゆる「デジタコ」)や業務日報などの会社への報告書、オフィスワーカーの方ですとメールの履歴や(少なくともその送信時刻には働いていたことがわかります。)PCのログの履歴も証拠になります。 こういう資料があれば、ご自分でコピーを取るとか、弁護士を通して会社側に提出を要求したりして、入手することになります。
資料がなくてもあきらめないで!
一方で、上記のような資料がない場合はどうしたらよいでしょうか。
本来的には会社は労働者の労務管理をする義務がありますが、それを怠っていて会社も資料を持っていないことが良くあります。その場合でも対処の方法はあります。
例えば、毎日労働時間や業務内容につきある程度詳細なメモや日記を作成して資料にすることが考えられます。後から訂正したり加筆したと思われないようにノートに手書きで書いていくのがよいでしょう。これに加えて、職場にいた時間がわかるように電話やパソコンに表示されている日時を写真に収めておくとか、職場のパソコンから外部に送信したメールをプリントアウトして、メモや日記の内容を補強するなどすれば、十分に有力な証拠になります。
これらの資料は請求期間全てにわたって必要というわけではなく、一部だとしても、他の時期も同じような仕事の仕方をしていただろうと考えられるので、資料が一部しかなくても諦めないでください。