依頼者▶︎Uさん 30代男性 飲食店店長 月給28万円 

争点:固定残業代制度の有効性、労働時間

相談に至った経緯等
Uさんは、飲食店の店長として、従業員の管理や指導、アルバイトの採用だけでなく、ホール業務も行っており、出勤は昼の営業の仕込み等があるため朝10時くらい、帰りは毎日終電でした。
管理職だということで残業代も出ず、特にタイムカードでの労務管理もされていませんでした。

相談から解決まで
Uさんは余りの忙しさに退職を決意しました。Uさんの奥様は、Uさんが長時間働いているにもかかわらず、その時間に応じた給与が支払われていないことを不審に思い、Uさんは奥様の勧めで当事務所に相談に来られました。
Uさんは自分が管理職であるので残業代は出ないと考えていました。
しかし、よくお話を伺うと、いわゆる管理監督者とはいえず、当事務所では残業代の請求は可能であると考えました。もっとも、給与明細をみると固定残業代(みなし残業代ともいいます。)という名目で支払われている手当があり、この点が大きく争いになると思われました。

当事務所から残業代を計算し、相手会社に対して内容証明郵便で約400万円の未払い賃金を請求したところ、固定残業代の支払をしており、未払いの賃金はないとの回答を受けました。
法的に強い争いになる可能性があり、相手会社に代理人弁護士は未だ介入しておらず和解ができるかどうかも判断できない事案でしたので、労働審判ではなく訴訟提起をすることにしました。
訴訟になると、相手会社にも代理人弁護士が介入し、①固定残業代を支払っており未払い賃金はない、②客観的にUさんの労働時間が分かる資料がない、という主張をしてきました。
これに対しては、①固定残業代制度は余りに長時間の労働を前提としたものであるから無効であり、固定残業代部分の基本給とするべきである、②労働時間については、かなり主張反論を繰り返しましたが、具体的な業務内容や店舗の開店時間や閉店時間をパソコンの記録と対応させて丁寧に主張を展開しました。
その結果、相手会社に未払い賃金があることを認めさせ、300万円で和解に至りました。

解決のポイント
給与明細上、固定残業代と記載があることから残業代を請求できないと諦めるのではなく、まず当事務所にご相談いただけたことが一番のポイントだったと思います。固定残業代制度が有効であるかどうかは法律問題ですから、疑問に思ったらまず弁護士に相談しましょう。